製作所日誌

2010年2月アーカイブ

枚方で

よく「前もって会場を下見されますか」と尋ねられるのですが、まず「結構です。大丈夫です。」と答えます。
大丈夫、という根拠はないのですが「響きが悪いから、ここを壊して建てなおしてください」なんて言えるわけでもないので、たいてい「大丈夫」なのです。(笑)
演奏面はもとより、壁を反響板がわりにうまく利用できる位置に楽器を置くとか、イスを並べるスタイルの会場であれば、イスの並べ方で、よりよく聴こえるようにとか、現場で出来る範囲、最大の工夫をします。

実は、「会場が響きません」と言われるより「会場はエレヴェーターのない5階です」と言われる方が、ずっと恐怖ですので、搬入経路だけはしっかり確認します!

そんなわけで、昨日もあまり何も考えず「はい、枚方の堀岡記念館ですね」と出かけたのですが、びっくりしました。
住宅街に現れたこの建物。
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堀岡さんというご婦人がおられ、何の説明もされませんが、さりげなく...ではないですね、なにげなく、の方がぴったりくるか、ルオーとか、ユトリロとか、ルノワールとか...だ〜っと並んでいました。

楽屋に使わせていただいた部屋にも、棚にはガレがだ〜っと並んでいました。
このアンティークのカードテーブル、とても素敵でした。
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会場の窓からはこんな風景が見えました。雨の予報でしたが、時折青空が顔を出すお天気で、よかったです。
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演奏後、お客さんから「トリプルアクセルみたいでした!」と声をかけていただきましたが、演奏している方も、このところオリンピックのフィギュアスケートを見ているせいで「ツウザキ、いい感じでカデンツにはいりましたが...あ〜、少し着氷が乱れました」と自分で解説してしまいそうになります。でも、そんな時は「でも流れはいいですね。後半のジャンプは決めてくると思います。」と思って演奏することにしています。(笑)

ルオーもよかったですが、この会場をお借りになった主催者の方、なんと81才、が手作りされた、手描きと切り貼りのコレ、もよかったです。
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なんと!

なんと、この度、家を買いました!
春から、念願の新居で夢のような生活がスタートします!

と言いたいところですが。
うそ、です。
うそうそ、ウソ〜です。

家を買ったのは本当です。
でも、後半の部分が、ウソでした。(笑)

昨年末、天使突抜一丁目、ちょうどうちの向かいの路地奥の小さな長屋の1軒が売りにでました。
築不詳の今にもこわれそうな...物件でしたが、我が家は楽器と着物があふれていて、身動きがとれなくなりつつあったので、倉庫としてはいいかなと。
だって、マリンバ4台と木琴3台(うち2台は某所に居候)、小振りの箪笥14棹...ふぅ〜
家を売ってヴァイオリンを買う、という愛と涙の感動秘話はドラマではなく、本当に聞くことがありますが、その逆で、楽器があふれて家を買わないと、借りないといけない、引っ越さないといけない、というのも、打楽器奏者には、たまにある話です。

困ったときは谷本さん、悩んだときは谷本さん!
というわけで、谷本さんに相談。

谷本さんは早速、若い建築家、堀川勝史くん
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を伴って、物件を見に来てくださり、
「いいんじゃないですか」。

ということで、購入を決めました!
その後、いろいろあり、ようやく先日契約にこぎつけました。

で、今日。

どれどれ、床はどうなってる?
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えっと、この上は...
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と池上くん。

この「火袋」(台所の吹き抜け)いいですね、と川合さん。
奥を覗くは谷本さん。
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カメラ片手にチェックするのは黄瀬さん。


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今日の堀川くんは、簡単な測量です。
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柱もずれている、かなり危ない物件ですが、もう大丈夫!という気になってきました。
心強いです。

今日決まったことは、「とりあえず壊してから考えよう!」(笑)

今日は、現場を見ながら、みんなの頭の中は、いろんなアイディアがくるくる回っているようでした。

みなさん、ほんとにほんとにお世話になります!



ユーミンと林光

今日は、朝から3月22日、三鷹でのコンサートの合わせをしました。
今回、この3人にとって、新しいレパートリーを入れたので、早めの準備です。

楽譜を前に、なにやら熱心に議論しております。
後藤さんと今田さん。
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今回、意外に難曲なのが、西邑由記子さん編曲の「Lapping in Yuming's」。ユーミンの曲がメドレーになっているのですが、いろんな作曲技法がさりげなく駆使されており、聴き応えのある作品に仕上がっています。

今日、もう一曲時間をかけたのは、林光「島こどもうた2」。
沖縄のこどもの歌を題材にした林光さんのピアノ作品を野田さんがマリンバトリオ用に編曲されたものです。

22日のプログラムは下記の通り。
詳細はこちら。

1 スペイン E.シャブリエ

2 ルーマニアン・ダンス B.バルトーク

3 モリタート K.ヴァイル

 4 パストラーレ I.ストラヴィンスキー

 5 グラスホッパーズ 坂本龍一

 6 Lapping in Yuming's 荒井由実/松任谷由実

 

第2部

1 マリンバソロ曲

2 25の練習曲 より(デュオ) J.F.ブルグミュラー

3 パレスチナの子どもたちの神さまへの手紙 高橋悠治

4「島こどもうた 2」より 林光

5 シネマ E.サティ

編曲 土肥寿美子(第1部1)野田雅巳(第1部2・3 第2部4・5)

   通崎睦美(第1部4・5)西邑由記子(第1部6)





作文指導

今日は午後から、ミカちゃんのレッスン。
ミカちゃんは、国語が苦手、でも高校の入試には作文がある、というので、作文の指導をかってでました。
全然、頼まれてないけど(笑)
マリンバの先生に作文を習う、というのも面白いでしょう。
きちんと構成を考えて表現するというのは、音楽にも通じるところなので、がんばってもらいたいと思います。

ミカちゃんは、このあいだから、小太鼓のレッスンにも通いはじめたので、そのことをテーマに書いてきてもらいました。
600字の中に「嬉しい」が3回も出てきて、余程うれしかったんだなあ、ということはよくわかるのですが、ちょっと多いかなあ。
でも、文章の中にうれしさがあふれているのは、悪くない。
個性を生かしながら指導するというのは、なかなかむずかしいです。
これも音楽と同じです。

と、えらそうなことを言ってますが、私は子どもの頃、読書も作文も、嫌いでした...
『ああ無情』を『アーム城』だと思っていたくらいです。
でも、今日はミカちゃんに「本物の赤ペン先生みたい」とほめてもらいました。(笑)

そうそう、ミカちゃんのお父さんは美容師さんですが、出張でのカットもされるということで、この度、そのお仕事のチラシデザインを谷本さんに依頼されました!
今日、初めての打ち合わせだったそうですが、どんなチラシができるのか、楽しみですね。

平岡養一木琴演奏曲選集

レコード・プレーヤーは随分前に処分してしまったので、うちではレコードが聴けません。
カセットテープは、つなげば聴けるけれど...という状態。

日々、出来る限りモノを増やしたくないと思っているのですが、先日、ついに、こんなものを購入しました。
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レコードプレーヤー(LP/SP/EP対応)なのですが、カセット、ラジオ、CD、それにUSB端子が付いているので、再生したものをファイルに保存できるという優れものです。
線をつなぐのが面倒だし、常に置いておく場所もないので、使うときだけ出してこられる一体型を探し、機能と値段でこれに決めました。デザインは「なぜかレトロ」なところがビミョウですが。(笑)

オークションで買ったまま聴けていなかった、平岡養一がアメリカに渡る前のSP盤などを聴き、また新たな発見をしています。

ところで、これを買うには、SP盤などレコードを聴くという他にも、目的がありました。

この手作りの箱は、この2年ほど、横浜から時には夜行バスに乗ってコンサートに駆けつけてくださる平岡養一ファンの方からいただいた、すっごいプレゼントです。

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中に入っているのは、ご自身が「昭和40〜50年代、真空管式のラジオのスピーカーの前にマイクを置き、ダブルモーター式の重いオープンリールで録音した平岡養一の演奏」を、編集して10巻のカセットテープにまとめてくださったものです!

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これらが、120分テープなので、このまま聴き続けるのには不安があり、データで保存できないかと思っていたのです。

それぞれのテープには、これもご自身による「平岡養一」が描かれています。
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曲目も、手書きによる冊子にまとめられています。
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すべて「通崎好み」を意識して作ってくださったそうです。

よく見れば、箱の中も凝っています。このあたりが通崎好み、ですね!
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かなり大変な作業だったと思うのですが、お手紙には「貴重な音源を誰かのために役立てたいと思っていたので、私としては大変嬉しいことです」と書かれていました。
貴重な音源はもとより、ここには、平岡養一に対する思いが、ずっしりと詰まっているようで、それも含めしっかり受け取りたいと思っています!


G.H.Green

今月末は、木琴コンサート。
普段は、「マリンバ」か「マリンバと木琴」なので「木琴」だけのコンサートは久しぶり。
2回目、かな、です。

木琴だけでやるとなると、いろいろと欲が出て、初めての曲や久しぶりの曲を弾いてみようと思います。で、出してきた譜面が、G.H.グリーン「ワルツ・ブリランテ」。

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本来木琴のために書かれているのですが、たいていはマリンバの代用で弾かれています。
私も、そうでした。
ですが、今回は、ようやく晴れて木琴で!

この方が、作曲者のGeorge Hamilton Greenさんです。
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自身も木琴奏者でした。このレコードでご本人の演奏を聴くことが出来ます。
10代で、すでに「世界一の木琴奏者」とよばれていたそうです。1916年にエジソン・カンパニーで録音しているという記録があります。
彼は、木琴奏者、作曲家としてのみならず、Magazine Cartoonist(イラストレーターみたいな仕事だと思う)水彩画家としてもよく知られていたそうです。

ところで、この曲、前回本番で弾いたのは、たしか20年くらい前?!
なのですが、平林さんは、ちゃんと伴奏譜を保管してくれていた!
感激です。
テープのパシパシ具合に年月を感じました。(笑)




シュナーベル

日米開戦後のニューヨーク。
日本人一切外出禁止の中、平岡養一がどうしても聴きたくて出かけたというコンサートが、シュナーベルのベートーヴェン。平岡養一が敬愛するピアニストってやはりどこか平岡っぽいのだろうか。シュナーベルのベートーヴェンは聴いたことがなかったので、CDを買ってみた。
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1930年代の録音です。
それにしても、このCD。ベートーヴェンのソナタ全集(10枚組)なのですが、HMVのマルチバイ価格で、なんと1132円。
えっ? 
何かの間違い、のような価格です。

ちょうど一緒に買った矢野顕子『音楽堂』は、定価3150円。
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自分で話題をふっておきながら、だからどう、ってことは、特にないのです...(笑)



國母選手の服装

オリンピックが開幕しました。
競技とは関係ないところで、國母選手の服装の乱れがニュースになっています。

記者会見の様子を見ていて、思い出したこと。
私も高校生の時、制服を着るのがいやで、校外学習の機会に私服(真っ赤なジャケット...)を着ていって反省文を書かされましたっけ。
「この学校の制服は、格好悪すぎてとても着られません。ポケットの位置が悪すぎる。グレーの色目も重すぎる」という内容を連綿と綴った反省文でした。たしか。(苦笑)
で、可笑しいのがその後。
「この制服は、とある有名デザイナーのデザインだから、価格も高く特別なものなのだ」という話だったのですが「絶対そんなわけないと思います!」と訴えると、ほんとにそんなわけなかった?!らしく、なんと、次の学年から制服のデザインが変わりました。
しかし...
私たちは古い制服のまま、でした...
詳しいことは、記憶力のよい平林さんにまかせます。

そんなわけで、國母選手の態度も大人げなかったとは思うけれど、その気分には少々同情的、であります。がんばって金メダルをとっていただきたいです。

高校、といえば、我が母校、京都市立音楽高校(新年度より京都市立京都堀川音楽高校)が、4月から新校舎に移転します。5月、こけら落としのコンサートとして、リサイタルをさせていただくことになっています。
何度か反省文を書いた私ですが、よんでいただきありがとうございます!
伴奏は、もちろんクラスメイトの平林さんです。西邑先輩の曲も入れますか。
コンサートでは、現役の打楽器専攻生との共演をお願いしています。
よく考えると、親子の年の差ですね。楽しみです。

このところ、出たり入ったりしている間に、林光さんから3月に共演予定の楽譜がどさっと届いていました。さぁ、練習。
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新国会丼

東京にいます。
昨日は、国会議事堂!
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となりの、国立国会図書館へ。

お昼は食堂で昼食。
メニュー「新国会丼」味噌汁付き600円、が目をひきました。
真っ白などんぶり(クリーンな器!)に盛られた親子丼にカツがのっています。カツ+親子、で親子にカツ!を入れるというシャレ。国民が望む「平和」な暮らしにちなんでグリーン「ピース」がちらされています。
がっつり、男子向きメニューですね。

オーダーを通す食堂のおばさんの声
「スパイシーと国会!」
(スパイシーカレーと国会丼の意味)
が新鮮でした。



三鷹のWSとコンサート!

最近、こんなものを見つけました。
昭和24年に発行された、子ども向けの雑誌の1ページです。
(「こども科学教室」第一科学社)
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この当時の子どもは鉛筆もナイフで削っていただろうから、この程度の解説で、木琴が作れたのかもしれませんね。昔のこども、スゴイ。

さてさて、木琴作りといえば、三鷹でのワークショップ。まだまだ先だと思っていたら、来月のことになりました。
2月は逃げるといいますから、もうすぐですね。老若男女(とはいえ、小学校4年生以上)大歓迎です。
やってみようかな、と思われる方は是非お申し込みください。

20、21日、それぞれの日、独立してワークショップが行われますので、ご参加いただくのは、どちらかの日、ということです。

そして、22日は、コンサート。
詳しくは、三鷹市芸術文化財団のHP。
私の写真をみつけてクリックしてくださいね!
インタビューも見られます。

からたちの花

ここのところ、クローズドのコンサートが続きます。
次回、初めて演奏するのが、山田耕筰の「からたちの花」。
平岡養一さんが使っておられた昭和3年発売の、これもレトロな楽譜です。
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平岡さんが、アメリカの伴奏者に説明するためでしょうか。
Karatachi no Hanaが説明されています。
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この楽譜には「はしがき」というのがあって、そこに山田耕筰自身の言葉で、アレンジのこだわりというか、思いが、つづられています。
「いつの時代もそうだよね」というキブンが読み取れ面白いです。
『「よき趣味に於て」整へるために充分の力をそそいだつもりであります』というこの編曲。大変美しいです。
「はしがき」にご興味のある方は、こちらのPDFでどうぞ。

最後に業務連絡
平林さん、楽譜送ります。遅くなってごめんなさい。


2012年8月

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筆記者

通崎睦美
製作所スタッフ
谷本天志(tanimoto)
戸矢崎満雄(toyazaki)
山崎暢子(yamazaki)
近藤あかね(kondo)

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2009年9月以前の日誌

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